法人営業は、企業との関係構築が重要な要素であり、成功への道のりは信頼とコミュニケーションに始まります。
しかし、初対面の企業との対話を開始することは時として難しいものです。
ここでアイスブレイクの重要性が登場します。
アイスブレイクは、対話を自然に導き、建設的な関係の土台を築く助けになるものです。
本記事では、そのようなアイスブレイクについて基本から具体例まで詳しく解説します。
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営業におけるアイスブレイクとは?
アイスブレイク(Ice Breaker)の語源は、文字通り「氷を割る」という意味があります。
社交の場において、このフレーズは比喩的に使われます。
つまり、人々の間に存在する緊張や不安(アイス)を解消(ブレイク)し、コミュニケーションを容易にするための「氷を割る」行動や会話を指すのです。
そして、営業におけるアイスブレイクは、初対面の顧客との間に存在する心理的障壁や緊張を和らげ、より開かれた、生産的な会話を促進することを目的としています。
アイスブレイクの行動や会話は、営業担当者と顧客の間で信頼と理解を築く助けとなり、最終的には良好なビジネス関係の基盤を築くことにつながるでしょう。
このように、アイスブレイクは営業のプロセスにおいて重要な役割を果たし、効果的なコミュニケーションと関係構築のための基盤となるのです。
営業でアイスブレイクを活用するメリット
では、営業の場面においてアイスブレイクにどのようなメリットがあるのか、具体的にみていきましょう。
- 場の主導権を握れる
- 場の緊張を和らげられる
- 初対面でも話しやすくなる
場の主導権を握ることができる
メリットの1つ目は、商談の場でアイスブレイクを活用することで、会話の主導権を握りやすくなることです。
ある程度の経験を踏んだ営業マンであれば、場の主導権を握ることがどれだけ重要であるか知っているのではないでしょうか。
顧客との会話において主導権を握ることで、こちらが引き出したい情報や顧客が抱えている課題を浮き彫りにし、こちらが最終的に導きたい結論、つまりは製品・サービスの契約締結に至るまでの道筋に顧客を誘導できます。
アイスブレイクを活用すれば、商談の場での主導権を握り、売り上げ向上が見込めるようになるでしょう。
場の緊張を和らげることができる
アイスブレイクは場の緊張を和らげ、商談を円滑に進める助けとなります。
初対面での緊張は避けられないものですが、アイスブレイクを利用することで、リラックスした雰囲気を作り、顧客との信頼関係を早期に築くことができるのです。
軽い笑いや共通の話題を提供することで、営業担当者と顧客との間のコミュニケーションバリアを低減させ、顧客にリラックスしてもらうことができます。
これにより、営業担当者は顧客の真のニーズや関心をより効果的に理解し、商談をより生産的なものに導くことができるでしょう。
初対面でも話しやすくなる
初対面の顧客と話す際、最初の挨拶をした後に互いに何から切り出そうか迷い、場の雰囲気が硬くなった経験はないでしょうか。
このような時にアイスブレイクを用いることで、凝り固まった雰囲気を和らげ、自然な会話を促進することができます。
アイスブレイクは、共通の話題を見つけたり、笑いを共有したりすることで、顧客との間にリラックスした環境を作り出します。
これにより、営業担当者と顧客は話しやすくなり、顧客のニーズや関心を理解しやすくなるでしょう。
このように、アイスブレイクは営業において必須のスキルとなり、商談の成功に向けて重要な第一歩となります。
アイスブレイクが必要なケース、不要なケース
アイスブレイクは営業の初期段階で重要な役割を果たしますが、その必要性は状況によって異なります。
特定のケースではアイスブレイクが役立ち、一方で別のケースでは不要となることがあるのです。
このセクションでは、アイスブレイクが必要とされるケースと、そうでないケースについて詳しく解説します。
アイスブレイクが必要なケースとは?
アイスブレイクは、特定の商談やコミュニケーションの状況で非常に効果的です。
以下のケースでは、アイスブレイクを利用することが推奨されます。
【初対面の顧客との商談】
例えば、新しいプロジェクトの提案を行う際や新しい市場に進出する際には、初対面の顧客との信頼関係の構築が重要となります。アイスブレイクは、お互いの興味や関心を共有することで、良好な関係の基盤を築く手助けとなります。
【商談の内容が重いまたは複雑なケース】
商談のテーマが重要で複雑な技術的な解決策を要求する場合、アイスブレイクは営業担当者と顧客の間で共通の理解を築く助けとなります。アイスブレイクを通じて、営業担当者は顧客の知識レベルや関心を把握し、商談を効果的に進めることができます。
【顧客が緊張しているまたは不安を感じているケース】
顧客が新しいプロジェクトや提案に対して不安や緊張を感じている場合、アイスブレイクは顧客の心を和らげ、安心感を提供することができます。アイスブレイクは、顧客に営業担当者と安心してコミュニケーションをとる環境を提供します。
【新しいアイデアや提案を伝えるケース】
新しいアイデアや提案を顧客に伝える際、アイスブレイクは顧客の心を開き、新しい情報に対する受け入れ態勢を作る助けとなります。アイスブレイクを通じて、顧客に営業担当者の誠実さや提案の価値を感じてもらうことができます。
アイスブレイクが不要になるケース
アイスブレイクは多くの商談で効果的ですが、すべてのケースで必要というわけではありません。
以下のような状況では、アイスブレイクは不要となることがあります。
【時間の制約があるケース】
商談のスケジュールが非常にタイトで、顧客が即時の回答や解決策を求めている場合、アイスブレイクの時間を設ける余裕はありません。
例えば、緊急の問題解決を求められるサポートミーティングなどが該当します。
【既に良好な関係が築かれているケース】
長期間にわたってビジネスの関係を築いている顧客との商談では、アイスブレイクは必要ないことが多いです。
お互いに良好な関係と理解が築かれているため、自然に会話が始まりやすくなります。
【形式的な商談のケース】
法律や金融などの専門的な分野で、形式的なプロトコルが要求される商談では、アイスブレイクは適切でない場合があります。
例えば、契約の交渉や法的な内容に関するミーティングでは、プロフェッショナルな態度を保ちながら直接本題に入ることが求められるでしょう。
【顧客がアイスブレイクを望まないケース】
雑談や仕事に関係のない話題を嫌うような方にも、アイスブレイクは不要になる可能性が大きいです。
顧客は、時間を節約し効率的に商談を進めたいと考えているかもしれません。
アイスブレイクに利用しやすいネタ
アイスブレイクは商談のスタートをスムーズにする重要な要素です。
しかし、何を話題にするかはなかなか難しい問題でもあります。
アイスブレイクに利用しやすいネタは、無難でありながらも、顧客の興味を引き、会話を生み出すきっかけを提供できるものが求められるのです。
このセクションでは、一般的にオススメされるネタと顧客の業界に関する話題の2つのカテゴリーに分けて、アイスブレイクに利用しやすいネタについて解説します。
一般的にオススメされるネタ
営業の現場において、アイスブレイクのネタとして有名な「キドニタテカケシ衣食住」というものがあります。
- キ:季節、天気に関する話題
例:「最近、急に寒くなってきましたね。」 - ド:道楽、趣味に関する話題
例:「趣味がなくて困ってるのですが、何かオススメとかありますか?」 - ニ:ニュース、時事ネタに関する話題
例:「今朝のニュースで〇〇という技術の開発が進んでいると言っていたのですがご存知ですか?」 - タ:旅、旅行に関する話題
例:「先週、〇〇に旅行に行ったのですが、△△さんは旅行とかされます?」 - テ:テレビの話題
「〇〇というテレビ番組をよくみてるのですが、知ってます?」 - カ:家庭の話題
例:「ご家族は何人いらっしゃるんですか?」 - ケ:健康の話題
例:「最近、健康に気をつかってランニングを始めたんですよ。」 - シ:仕事の話題
例:「最近、仕事の調子はどうですか?」 - 衣:着ている服などの話題
例:「その服オシャレですね、どこで買ったんですか?」 - 食:食べ物の話題
例:「最近、そばにハマってるんですけど、オススメの店とかあります?」 - 住:住居や出身地の話題
例:「お住まいはどの辺りなんですか?」
これらのテーマはアイスブレイクに非常に適しており、営業の場において効果的にコミュニケーションを築くための良い切り口になるでしょう。
特に、これらのテーマは日常生活に密接に関連しており、誰もが共感しやすい内容となっています。
顧客の業界に関する話題
顧客の業界に関する話題は、アイスブレイクの際に非常に効果的です。
これは、顧客がその業界における経験や知識を共有する機会を提供し、営業担当者が顧客のビジネスに対する理解を深める助けとなるからです。
さらに、顧客の業界に関する話題は、顧客に対して営業担当者が調査を行い、準備をしてきたことを示し、顧客の信頼を勝ち得ることができます。
具体例を挙げると下記などです。
- 顧客が製造業の企業である場合、最近の製造技術の進歩や業界のトレンドについての話題。
- 顧客がIT業界に属している場合、最新のソフトウェア開発ツールやプラットフォームに関する話題。
アイスブレイクで避けるべき話題
アイスブレイクの際には、柔らかく明るい雰囲気を作り出すことが重要ですが、一方で不適切な話題を選ぶと、顧客との関係に悪影響を及ぼす可能性があります。以下は、営業のアイスブレイクで避けるべき話題の一例です。
- 【政治や宗教に関する話題】
政治や宗教に関する議論は非常に感情的になりやすく、意見が分かれるため、これらの話題は避けるのが賢明です。 - 【負のニュースやゴシップ】
負のニュースやゴシップは、会話の雰囲気を暗くし、プロフェッショナルな関係を築くのを困難にする可能性があります。 - 【競合企業に関する話題】
競合企業に関する否定的なコメントや批評は、顧客に対して不快な印象を与える可能性があります。 - 【過去の失敗やミスに関する話題】
過去の失敗やミスに焦点を当てるのではなく、将来の機会や解決策に焦点を当てるよう努めましょう。
これらの話題を避け、代わりにポジティブで建設的な話題を選ぶことで、顧客との信頼関係を築き、成功への道を築くことができます。
また、顧客の反応を注意深く観察し、彼らが快適に感じる話題を選ぶことも重要です。
営業におけるアイスブレイクについてよくある質問
では最後に、アイスブレイクに関してよく寄せられる質問について回答していきます。
アイスブレイクはいつ行うべき?
アイスブレイクは通常、商談の最初に行うものです。
初対面の顧客と会う際、最初の数分間はアイスブレイクで親しみやすい雰囲気を作り出すことで、顧客との信頼関係を築き、商談をスムーズに進める土壌を作ります。
しかし、アイスブレイクのタイミングは状況によって異なります。
例えば、顧客が急いでいる場合や、重要な話題をすぐに議論する必要がある場合は、アイスブレイクの時間を短くするか、またはスキップするかもしれません。
アイスブレイクのタイミングは、顧客の反応や商談の進行に合わせて臨機応変に対応することが求められるので、商談の進行において柔軟な対応ができるよう、事前の準備と顧客への注意深い観察が重要となるでしょう。
参考:法人営業におけるヒアリングのコツ【基本から詳しく解説】
アイスブレイクで何を話せばいいですか?
アイスブレイクで話す内容は、場の雰囲気を軽くし、顧客との関係を築くことを目的としています。
そのため、以下のような話題がオススメされています。
- 天気や季節に関する話題
これは無難で、共通の話題としてよく利用されます。
ただし、これらの話題は表面的なものであり、深い関係を築くためにはさらなる話題が必要です。 - 趣味やレクリエーションに関する話題
顧客の趣味や好きな活動について質問することで、よりパーソナルな関係を築くことができます。 - 時事ネタや業界の動向に関する話題
これらの話題は商談に直結する可能性があり、顧客の意見や考えを理解するための良いきっかけとなります。 - 顧客の企業や業界に関する話題
顧客の業界に関する最新の動向やニュースについて話すことで、顧客にあなたが彼らのビジネスに対して興味を持っていることを示すことができます。
重要な点は、アイスブレイクは自然で無理のないものであること、そして顧客が快適に感じることができるような話題を選ぶことです。
また、顧客の反応を注意深く観察し、それに応じてアイスブレイクの内容や進め方を調整する柔軟性も求められます。
詳しくは、本記事で解説した「アイスブレイクに利用しやすいネタ」を参考にしてください。
アイスブレイクの具体例は?
アイスブレイクの具体例は多岐にわたり、その場の状況や顧客の性格、そして営業担当者の判断によって異なります。以下にいくつかの具体例を示します。
- 天気や季節について
今日は本当に暑いですね。でも、このような日はアイスコーヒーが一段と美味しいですよね。」 - 共通の趣味や興味について
「〇〇さんがゴルフが好きだと聞きました。最近、コースに出られましたか?」 - 時事ネタについて
「最近のニュースで、私たちの業界に影響を与えそうな新しい規制が出されたようですね。それについてどう思いますか?」 - 顧客の業界に関する話題
「あなたの会社が新しいプロジェクトを開始したと聞きました。」 - イベントやホリデーに関する話題
「クリスマスが近づいていますね。何か特別な計画を立てていますか?」 - 家庭やペットについて
「お子様やペットはいますか?」
アイスブレイクは、親しみやすい雰囲気を作り、顧客との信頼関係を築くきっかけを提供することを目的としています。
ですから、顧客の反応を注意深く観察し、顧客が不快に感じないようにすることも重要です。
アイスブレイクのネタに適さない話題も存在するので、「アイスブレイクで避けるべき話題」を参考に無難な話題をするようにしましょう。
まとめ:アイスブレイクを営業に活用させましょう
営業活動におけるアイスブレイクは、商談の成功に向けた大切な第一歩となります。
アイスブレイクを効果的に活用することで、顧客との関係を築き、商談の雰囲気を和らげ、さらには主導権を握ることも可能となります。
具体的なアイスブレイクのネタとしては、「キドニタテカケシ衣食住」を参考にし、顧客の興味や業界に関連する話題を選ぶことがお勧めです。
また、アイスブレイクは商談の状況や顧客の反応を良く観察し、適切に行うことが重要です。
営業担当者としては、アイスブレイクをスキルの一部として磨き、顧客と良好な関係を構築し、成功へと導くきっかけを作成しましょう。