「法人営業はきつい」と感じる人は少なくありません。競争が激しく、ニーズが複雑で、長い営業サイクルとともにプレッシャーが伴います。
しかし、それだけのやりがいも確かに存在するのも事実です。
この記事では、法人営業の厳しさの背景やその対処法、さらには法人営業の魅力まで、現役営業マンの視点から詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
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法人営業をきついと感じる原因
法人営業と一言で言っても、その実態は多岐にわたります。
大手企業から中小企業まで、取引先の規模や業種、ニーズはさまざまです。
そうした中での営業活動は、個人営業と比較してもさらに多くの難しさや課題を伴うもの。
しかし、なぜ多くの営業マンが「法人営業はきつい」と感じるのでしょうか。
その背景にある主な原因を、以下で詳しく探っていきます。
- 受付で拒絶され担当者まで繋がれない
- 専門知識・トレンド情報を勉強するのが大変
- 複雑なニーズの調査・解決が難しい
- 会社からのノルマがきつい
- 営業サイクルが長い
- 個人への営業よりプレッシャーが大きい
- 飲み会・接待が必要な場合がある
受付で拒絶され担当者まで繋がれない
法人営業を行う際、最初の難関とも言えるのが「受付の壁」です。
まずは、事前のアポイントを取ることが多いのですが、担当者が外出中だったり、アポイントの取りづらい企業も少なくありません。
例えば、あるIT企業を訪問した際、新しいソフトウェアの提案をするつもりが、受付で「今、担当者はおりません」と言われ、何度か訪問してようやく会うことができた、というエピソードも。
このような状況は、初めての取引先や、まだ関係が浅い企業では特に頻発します。
初回のアプローチが難しいのが、法人営業の特徴の一つとも言えるでしょう。
専門知識・トレンド情報を勉強するのが大変
法人営業では、取引先の業界や商品、サービスに対する深い理解が求められます。
特に新しい業界や技術領域にアプローチする際、その背景知識や最新のトレンドをキャッチアップすることは容易ではありません。
例えば、医療機器メーカーへの営業では、その製品がどのような患者さんのためのものなのか、また、関連する法規制や規格などの情報も押さえる必要があります。
また、IT業界の場合、毎年のように新しい技術やソリューションが登場しますので、定期的なアップデートが不可欠です。
このような専門知識やトレンド情報の追求は時間と労力を要しますが、それを克服することで、お客様からの信頼を得るための大切なステップとなります。
複雑なニーズの調査・解決が難しい
法人営業の中でも、顧客のニーズの捉え方は非常に難易度が高いとされます。
特に、複数の部門やステークホルダーが関与する大企業では、その要望や課題が多様で、時には相反するものもあることが珍しくありません。
例として、ある製造業での導入を検討しているシステムについて、生産部門では「効率化」を求めている一方で、品質管理部門では「データの精度」を重視している、といったケースが考えられます。
このような複雑なニーズを正確に把握し、それに適切に応える提案をするためには、深いヒアリングや多角的な視点からの分析が不可欠です。
会社からのノルマがきつい
法人営業を担当する中で、多くの営業マンが感じるプレッシャーの一つが、会社からのノルマです。
ノルマはビジネスの目標を明確にするためのものですが、設定が過度に高い場合、日々の営業活動にストレスを感じることが増えます。
例えば、先月売上げが好調だったからと言って、次月のノルマが大幅に上げられると、どんなに努力してもその目標を達成するのは難しくなるでしょう。
また、連続してノルマを達成できない月が続くと、自信喪失やモチベーションの低下を招く恐れもあります。
営業サイクルが長い
法人営業において、営業サイクルの長さは頻繁に取り上げられる課題の一つです。
個人向け営業と異なり、法人間の取引では、提案からクロージングまでに数ヶ月、場合によっては1年以上の時間がかかることが少なくありません。
例えば、大手企業へのITソリューションの提案の場合、初回のヒアリングから実際の契約締結まで、多くの打ち合わせや社内調整が必要となります。
企業の規模や業界、提供するサービスや商品の内容によって変わるため、営業マンは長期的な視点での関係構築が求められるのです。
このような長いサイクルの中で、継続的なフォローアップや信頼関係の築き上げが不可欠となります。
個人への営業よりプレッシャーが大きい
法人営業は、その名の通り企業や団体をターゲットとした営業活動です。
個人営業と比較して、取引の規模が大きいため、一つの成果がもたらす影響も大きくなります。
例を挙げると、新商品の導入を提案する際、成功すれば会社の収益に大きく寄与しますが、失敗すると大きな損失に繋がる可能性も。
また、法人の場合、意思決定のプロセスに多くの関係者が関与するため、多角的なアプローチや深い調査が必要となります。
これにより、営業活動のステップごとに高いレベルの説得力や提案力が求められ、それがプレッシャーとして営業マンにのしかかることも少なくありません。
飲み会・接待が必要な場合がある
法人営業において、単に商品やサービスの情報を伝えるだけでなく、お客様との信頼関係を築くことも重要な役割を果たします。
そうした背景から、飲み会や接待が求められる場面が増えることが特徴的です。
例えば、大きな取引を進める際、先方の意向をより深く理解するためや、新たな情報をキャッチするための情報収集の場として、飲み会が設定されることがあります。
また、接待ゴルフなどのイベントで、リラックスした雰囲気の中でビジネスの話を進めることも。
しかし、これらの活動はプライベートの時間を削ることとなり、体力的・精神的な負担が増す一因とも言えます。
法人営業がきついときの対処法
法人営業は日々の厳しいノルマ、高いプレッシャー、そして複雑なクライアントの要望など、さまざまな困難が待ち受けています。
しかし、そうした難しさを乗り越えるための対処法やテクニックが存在します。
これらの方法を取り入れることで、営業活動をよりスムーズに、そして効果的に進めることができるようになるでしょう。
このセクションでは、法人営業が感じるきつさを軽減するための具体的な対処法をいくつかご紹介いたします。
継続的なスキルアップを目指す
法人営業を行う際には、絶えず変化する市場の動向や顧客のニーズに対応するためのスキルが求められます。
特に、新しいITツールの導入や営業戦略の変更など、業界のトレンドをキャッチアップすることは不可欠です。
例えば、近年ではCRMツールを使ったデータ管理や、Zoomを活用したオンラインミーティングのスキルが重要視されています。
こうした新しいツールや手法を継続的に学び、自らのスキルセットに取り入れることで、顧客に対しての付加価値を高め、営業成果を向上させることが期待できるでしょう。
継続的な学びは、自分自身の市場価値を高めるための鍵となるのです。
小さな目標を設定してコツコツこなす
法人営業の日常は大きなターゲット達成のプレッシャーに追われがちです。
しかし、大きな目標を追い続けるだけでは、焦りや疲れが生じやすくなります。
そこで、日々の活動を小さな目標に分割して、一つずつコツコツと達成していく方法が有効です。
例えば、一日に10社の新規リストアップ、5社へのアプローチ、3社とのミーティングの設定など、具体的な数字を設定し、その数をコツコツと積み重ねていくことで、大きな目標も自然と達成されるようになります。
このように、日々の努力を積み上げることが、結果的に大きな成果に繋がるのです。
経験者からのアドバイスを受ける
法人営業の世界では、経験が非常に価値を持つものと言えます。
先輩や経験者からのアドバイスやフィードバックは、新人や経験が浅い者にとって、貴重な指南となるでしょう。
例えば、顧客のニーズを探る際のコツや、提案の仕方、さらには顧客との長期的な関係性の築き方など、具体的なケースに基づいたアドバイスは、実務に直結したものとなります。
また、営業ミスをした際に、どのようにフォローしたら良いかなど、具体的な事例をもとに教えてもらうことで、次回からの改善や回避がスムーズに進められるようになるでしょう。
経験者の知恵や経験談は、自身の成長を大きく後押しするものです。
優先順位をつけてタスクをこなす
法人営業においては、毎日様々なタスクが発生します。
重要な商談のアポイントメント、資料の作成、レポートの提出など、その内容は多岐にわたります。
こうした多くの仕事を効率よく進めるためには、優先順位の設定が不可欠です。
例えば、今週中に提出が必要な資料がある場合、それを先にこなすことで、後のスケジュールに余裕を持たせることができます。
一方で、顧客からの突然の問い合わせにも迅速に対応する必要があり、そのような際は、タスクのリスケジューリングを行い、緊急度や重要度に応じて再度優先順位を見直すことが大切です。
毎日の業務の最初や終わりに、翌日のタスクリストを確認し、優先順位をつける習慣をつけると、スムーズな業務遂行が期待できるでしょう。
自分なりのセルフケアを見つける
法人営業は、多くのストレスやプレッシャーがつきものです。
そこで、日々の疲れを解消し、気持ちをリフレッシュするための独自のセルフケア方法を見つけることが重要になります。
例えば、私は、毎週金曜の夜を「無音の時間」として、音楽やテレビをオフにして、静寂の中で好きなジャンルの本を読むことにしています。
また、私の知り合いの方は、毎日の終わりに美味しいコーヒーを自分で淹れる「コーヒータイム」を設け、その時間だけ業務のことを忘れ、深呼吸とともに一息つくようにしているそうです。
大切なのは、日常のルーチンから一歩踏み出し、自分だけのリフレッシュ方法を見つけること。
それが、長期的な業務遂行のエネルギー源となります。
外部のセミナーや研修を受講する
外部のセミナーや研修は、法人営業を行う際に新しい視点や手法を獲得する大切な手段となります。
最近のビジネストレンドや他社の成功事例、さらには先進的なセールス手法を学ぶことは、自社の営業活動を大きく前進させるきっかけになるでしょう。
例えば、新しいデジタルツールの活用方法や、異業種とのコラボレーションの手法を学ぶセミナーに参加することで、日々の仕事の質が向上します。
また、これまでの方法に疑問を持つことなく進めてきた業務の流れを、一度外部の視点で見直すことで新たな発見や気づきを得ることもできるでしょう。
法人営業で得られるやりがい【きついけど楽しいことも】
法人営業は、確かに日々の業務がきついと感じることも多いですが、その中には多くのやりがいや魅力を見つけることができます。
ここでは、法人営業で得られるやりがい、楽しいことをいくつか紹介するので参考にしてください。
規模の大きな取引と関われる
規模の大きな取引に関わることは、法人営業の特権的な魅力の一つと言えます。
例えば、大手企業との新しいプロジェクトの取引を進める過程では、多額の契約金額や多数の関連部門との連携が求められます。
このような大きな取引を成功させた際の達成感は、個人顧客を対象とする営業とは比較にならないほどです。
また、大規模プロジェクトの推進には、多岐にわたる情報や専門知識の取得が不可欠となります。
たとえば、あるIT企業との取引で新しいシステムの導入をサポートする際、その最新技術の詳細や導入メリットを学ぶことができるのです。
このように、規模の大きな取引を通じて得られる経験や知識は、自身の成長にも繋がります。
豊富な人脈を構築できる
法人営業を行う過程で、様々な企業や業界の方々と接する機会が増え、豊富な人脈を築く大きなチャンスとなります。
たとえば、ある日は製造業のトップとの打ち合わせ、別の日はIT業界のスペシャリストとのディスカッションが予定されるなど、多岐にわたる関係者とのミーティングが日常的に行われます。
これらの経験を通じて、多様な背景や視点を持つ方々から直接情報や知識を得ることができるのです。
また例えば、建設業界の関係者との交流を通じて、最新の建材技術や市場の動向を知ることができるかもしれません。
そして、これらの人脈は将来的なキャリアの選択肢を広げる要素ともなります。
豊富な人脈は、新しいビジネスのチャンスや情報収集の窓口として、法人営業の日々の業務をより有意義にしてくれます。
成果が分かりやすく給与に反映される
法人営業の魅力の一つは、自身の努力や成果が直接給与に反映される点にあります。
多くの企業では、達成した目標や契約数に応じてボーナスやインセンティブが支給されるシステムを採用しています。
たとえば、新たに大手企業との大型契約を結んだ場合、その功績によって収入が大幅にアップすることも。
また、毎月の契約更新数や新規取引先の獲得数など、具体的な数値を元に評価されるため、自分の努力がどれだけ結果に結びついたのかがはっきりとわかります。
このような明確な評価軸は、営業マンのモチベーションを高める要因となり、日々の業務において前向きな姿勢を保ちやすくします。
自らの手で成果を上げることで得られる達成感と、それに伴う収入の増加は、法人営業の大きなやりがいと言えるでしょう。
多岐にわたるスキルを習得できる
法人営業を担当することで、さまざまなスキルを習得することができるのも、やりがいの1つです。
まず、クライアントとの交渉術はもちろん、プレゼンテーションの技術や効果的なコミュニケーション能力が身につきます。
例えば、新製品のプレゼンをする際、リスニング力を鍛え、相手のニーズを正確にキャッチし、それに応じた提案をする力が必要となります。
また、多様な業界の企業と取引を行うことから、業界のトレンドや知識も吸収することができるでしょう。
データ分析のスキルも必要とされることが多く、売上データや市場の動向を元にした戦略の立案も日常の業務として求められます。
このように、法人営業の仕事を通じて、多岐にわたるスキルの習得が期待できるのです。
別業界への転職がしやすい
法人営業の経験は、多様な業界や企業との接点を持つため、転職の際に大きなアドバンテージとなります。
営業経験者はコミュニケーション能力や交渉力、問題解決能力など、多くの企業が求める基本的なスキルを持っていると評価されることが多いのです。
具体的には、IT業界での営業経験者が、その後、健康食品の販売企業へ移籍し、自らの営業スキルとIT知識を活かして新しいビジネスを展開するケースなどが考えられるでしょう。
また、私の知っている例では、不動産業界での経験を持つ営業マンが、トラベル業界へとシフトし、旅行商品の販売に携わり結果を出している方もいます。
このように、法人営業の経験は、さまざまな業界での転職の障壁を低くする大きな力となるのです。
法人営業がきつい人によくある質問
法人営業は、他の職種とは異なる独特のストレスや負担が伴います。
そのため、この分野に興味を持つ多くの人々は、実際のところどんな困難や挑戦が待ち構えているのか、またどのような人物像が求められるのかを知りたくなります。
このセクションでは、法人営業を目指す人や、現在法人営業として働いているが不安を感じている方々からの、よくある質問とその答えを取り上げていきます。
質問①:法人営業で大変なことは何ですか?
法人営業の大変さは、個人営業とは異なる点が多々あります。
まず、取引規模が大きいため、一つの失敗が大きな損失となることが1つ。
また、複数の部署や担当者との連携が必須となるため、コミュニケーション能力が求められます。
さらに、企業ごとの文化や価値観を理解し、提案内容をカスタマイズする必要があるのも特徴であり、これには深いリサーチや緻密なプランニングが求められます。
そして、長期間にわたる交渉やフォローアップも大変ですが、これらの経験が後々のビジネスシーンでの強みとなっていくでしょう。
質問②:一番きつい営業は何ですか?
営業の形態や業界によって「きつい」と感じる点は異なりますが、一般的には新規顧客開拓や大口のクライアントへのアプローチがきついと言われることが多いです。
特に、まだ関係性が築かれていない企業への初めての訪問や、競合が多い市場での提案は、高いプレッシャーを伴います。
また、製品やサービスの特徴を巧みに伝えるスキル、顧客のニーズを正確に掴む洞察力が要求されるでしょう。
さらに、反応が冷ややかな場面もあるため、メンタルの強さや忍耐力が求められるのも、この種の営業の特徴といえます。
質問③:法人営業の給料はいくらですか?
法人営業の給料は、業界や経験年数、企業の規模、地域などさまざまな要因によって大きく変動します。
一般的に、基本給に加えて、実績や成果に基づくインセンティブやボーナスが給与の一部として支給されることが多いです。
初任給の平均は、大手企業では月額25万円〜35万円程度が一般的ですが、実際には業績次第で大きく上下します。
また、ITや医薬品業界など、特定の業界では高い報酬が期待できることも。
しかし、給料だけでなく、福利厚生や教育制度などの実質的な待遇をしっかりとチェックすることが重要です。
質問④:法人営業に向いてる人はどのような人ですか?
法人営業に向いている人は、まず強いコミュニケーション能力を持ち合わせています。
相手のニーズを的確に捉え、提案力が高いことが求められるでしょう。
また、忍耐強さと継続力も大切ですね。多くのノックバックや拒絶を経験する中で、常に前向きに取り組める人が成功します。
チームワークも重要で、企業のメンバーや他部署とスムーズに連携できる人が有利です。
さらに、市場の動向や競合他社の情報をキャッチし、柔軟に戦略を組み立てられるアナリティカルな思考力も大切です。
このような特性やスキルを持つ人が、法人営業の世界で輝くことができるでしょう。
質問⑤:法人営業はやめとけって言われるけど本当?
法人営業には確かに厳しい面が多く存在します。
目標達成のプレッシャーや拒絶されることの繰り返し、長時間労働といった点が挙げられます。
そのため、「やめとけ」という声が上がることも少なくありません。
しかし、それと同時に、法人営業は大きなやりがいや成果を感じることができる職種でもあります。
高額な取引を成立させたときの達成感や、多くの人との出会いから得られる経験は他の職種では味わえないものです。
だからこそ、向き不向きはあれど、一概に「やめるべき」と断じることはできないのです。
興味がある方は、実際の現場の声を参考にしながら、自分自身で判断するといいでしょう。
まとめ:法人営業はきついけど成果が出れば楽しい
法人営業は多くのプレッシャーや課題に直面しますが、それに見合うだけの大きな成果や達成感を手にすることができます。
営業成績が上がれば、その報酬や評価も高まります。
一方、厳しい環境の中での仕事は、ストレスや挫折感を覚えることも少なくありません。
しかし、そんな中での成功体験は、他の職種では味わえない楽しさや満足感をもたらしてくれるでしょう。
法人営業は、挑戦と成果がセットになった魅力的な仕事だと言えます。